Ⅳ.ラッピングバス広告自主審査基準
1.自主審査の必要性と基準
平成12年4月から走行し始めたラッピングバスについては、そのデザインの楽しさ・美しさを評価する声がある反面、景観面からの批判・指摘が少なからず聞かれるようになりました。
ラッピングバスが、都民やバス利用者に親しまれるものとして定着するためには、このような声にこたえる必要があります。ラッピングバスは、東京都屋外広告物条例上の許可を受けて広告を表示するものですが、行政の許可基準はあらかじめ申請者に対しわかりやすくするために、数値等で明確に示す必要があります。
しかし、このような許可基準によって専門的なデザインの判断を行うことにはどうしても限界があります。
そこで、当協会として、景観・デザインの専門家によるデザイン審査委員会を設置し、審査基準を策定してその実効性を高めることといたしました。
本基準は、この自主審査委員会における審査基準の例を示すものであり、事業者、広告業界等が自主的に判断することを期待するものであります。
2.ラッピングバスに求められるデザイン
広告の描かれるバスは、車体自体が大きいだけでなく公共空間を移動するものであるため、一般市民の目に強く映ります。
商業広告は、時として刺激的な表現を追及する場合もありますが、「まち並み」との景観上の調和に一定の配慮が必要です。
ところで、東京の「まち並み」は、大きく個性の異なる地域があるため、どのような車体利用広告のデザインがふさわしいか、一概に論じることは難しいですが、駅前などを考えると、そこには既に多くの広告物が存在し、落ち着きのない景観となっているのも事実です。そこに乱雑な広告をつけたバスが走り回れば、景観に悪影響を及ぼすと考えられますし、乱雑で、過度に派手な広告や暴力的な広告は、それ以外の地域、例えば住宅地においては更にふさわしくないでしょう。
以上のようなラッピングバスの特性を踏まえ、良好なデザインを創造することによって、景観の向上や広告主を含めた企業イメージの向上につながるよう申請者の皆様のご理解とご協力をお願いします。
3.基準の考え方
各基準は、色彩の対比の整え方、レイアウト等について分解して記述しておりますが、もとより良好なデザインはこれらの有機的な関係に基づくものであり、一つ、二つの基準に適合しないからといって、必ずしもそのデザインが否定されるものではありません。また、良好なデザインというものは、常に新しいアイディアによって創造されていくものであり、固定化された基準に収まりきるものでもありません。
このようにデザインについては、基準化することに限界があるものの、各基準が景観・デザインの専門家による審査の判断材料となります。
車体利用広告デザイン審査申込先
公益社団法人 東京屋外広告協会 車体利用広告デザイン審査委員会
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-2-2 丸の内二重橋ビルディング6階
TEL:03-3213-1963
FAX:03-3212-3718